2014年3月10日月曜日

奈良の旅人エッセイ-38-「奈良旅と私」

「奈良旅と私」      
               
 早寝早起きが自然に出来る奈良の旅。たくさん歩いて疲れたら、日付が変わるころにはベッドでぐっすり。そして目覚めたら美味しい朝ごはんが待っている。朝ごはんを食べながら太陽の光を浴びていると、あぁ健康的な瞬間だなぁ。そんな風にいつも思う。     
  5,6年前、小学生ぶりに友達と奈良を訪れた。その時はあいにくの雨降りだったけど、久しぶりに見る東大寺の大仏様の大きさに感動し、柱の小さな穴をぎりぎり通り抜けた自分の身体で、あの頃からかなりの月日が経ったことを痛感した。そんな旅から今まで奈良を訪れない年は無い。何が私をそんなに奈良に惹きつけるのだろう。きっかけは好きなアーティストの故郷、そんなミーハーな気持ちからだったけど、何度も訪れるうちに今では自分にとって大切な大好きな場所になった。私から伝染して、両親も奈良好きに。燈花会の季節が来る度に、大切な思い出も増えていく。                   
 誰かと一緒に奈良を旅する、もちろんそれもかけがえのない時間。でも思い起こすと、私の奈良旅は一人が多い。人の波に流されて、時間を気にしながら早足で歩く毎日。そんな生活の中で溜まっていくもやもやした毒素みたいなもの。そんなものが溜まってくると、ふとした瞬間にあぁ、奈良に行きたい。と呟いている自分がいる。黒くなりそうな心を白へと戻してくれる、私にとって奈良はそんな場所。奈良の人の優しさや、景色や空気に触れてどんどん心の毒素が抜けていく。
 一人で旅をしていると、時々少し寂しくなる瞬間もある。でも一人だからこそ生まれるお寺の方との会話が嬉しい。お寺の事、仏様の事、時には人生についてのお話もとびだしたりして、先輩のお話は心に染みる。壁にぶつかったり、心が傷ついたりした時、気持ちを切り替えて前へと進む力をもらいたい時、私の心はいつも奈良へと向かう。心のままに奈良へ行けば、変わらず迎えてくれる人がいて、大好きな景色がある。大仏様は大きな身体で大丈夫だよといつでも受け止めてくれる。何度も訪れるうちに自分のお気に入りのお寺や仏様に出会えたり。そんな場所を巡って自分の時間を急がずゆっくり過ごせば、旅が終わる頃には、背中を少し押してもらって、また頑張るかと思えている自分がいる。
充電完了!
 それでも日々の生活の中でまた充電が切れてしまいそうな時、私は奈良旅へと出発。そんな風にして奈良を訪れる度、大切な瞬間が増えていくから、私は奈良旅をもうやめられない。

東京都在住 O.A.様 30代 女性